大腸ポリープとは
大腸ポリープは、大腸にできる「いぼ」の様な隆起性の病変で、形もさまざまですし、大きさも1mm程度の小さいものから数cmまであります。ポリープは、大きく分けると非腫瘍性のものと、腫瘍性のものがあります。炎症性や、過形成性といわれるポリープは、非腫瘍性のものです。腫瘍性のポリープの場合、大腸ポリープの8割以上を占めるとされる腺腫や「がん」を含み、隆起性の病変の他に陥没した腺腫、陥凹型のがんもあるため、詳細な観察が必要です。
大腸ポリープから大腸がんへ
大腸がんの9割は、腫瘍性ポリープである腺腫が数年間をかけて徐々に大きくなり、大腸がんに移行していくタイプです。また、過形成ポリープであっても、サイズが10mmを超えたら腺腫と同様に「がんへの移行リスクの高いポリープ」だと最近では考えられています。そして、正常の大腸粘膜から直接がんが発生するケースも最近は指摘されており、さらにこうして発生した大腸がんは、早期に浸潤・転移を起こす悪いタイプのがんである可能性が高いと言われています。そのため、直接、大腸の粘膜をつぶさに観察でき、ポリープだけでなく小さな病変も発見可能な最新機器による大腸内視鏡検査が有用なのです。
大腸ポリープの検査
大腸ポリープや早期の大腸がんはほとんど無症状であるため、大腸ポリープや大腸がんを見つけるために、便潜血検査と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が広く行われています。便潜血検査(2日法)は便中に出血がないかを調べるもので、簡便・低コストなこともあり、一般の検診において多く普及しています。ただし、この検査では、がんがある場合に陽性になる確率が80%程度、ポリープ(腺腫)に対しては10%~50%程度しかないとされています。そのため、この便潜血が陰性であっても、内視鏡検査を受けてポリープや早期がんが発見されることは珍しくありません。少なくとも便潜血検査で陽性になったら、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。
大腸ポリープの切除
大腸内視鏡検査では、検査中に発見したほとんどの大腸ポリープの切除が可能です。そのため、別の日に改めて切除のためにご来院いただく必要はありません。外来で行う内視鏡での切除法は、主に「ポリペクトミー」「内視鏡下粘膜切除術(EMR)」の方法があり、どれも切除の際の痛みはありません。特にポリープが大きい場合や、出血の危険性が高い場合などがあれば、専門の高度医療機関で改めて治療を受けられるようご紹介しています。その場合、内視鏡的粘膜下層剥離術や外科手術など、ポリープの大きさや状態に合わせた治療が行われます。
ポリペクトミー
EMR
なお、内視鏡検査時に切除したポリープは回収し、顕微鏡検査によって種類を診断します。その結果をもとに治療方針を立てていきます。もしもポリープが大腸がんであったとわかった際には、追加治療を行う場合もあります。
手術による合併症
内視鏡治療の術後には、切除した部分からの出血や、穿孔といって腸に穴があいたりする合併症が起こる可能性があります。実際は、1%以下に出血を認めることはあっても、穿孔することはほとんどありません。また、合併症予防のためには、ポリープ切除後1週間ほど、アルコールや腹圧のかかる運動を避ける必要がありますのでご注意ください。